大飯原発その後──電力はやはり足りていた

東京新聞2012.8.15付け

 

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政府が七月二日に始めた節電要請から六週間の八月十二日までの間、関西電力管内の最大電力需要が二千六百八十一万キロワットで、猛暑だった二〇一〇年夏よりも四百十四万キロワット、率にして13%下回っていたことが分かった。

 

最大需要を記録した日の最高気温は今夏も一〇年夏もほぼ同じだが、今夏は東京電力福島第一原発事故を背景に企業や家庭の節電が需要を押し下げた。

 

政府や関電は「一〇年並みの暑さになれば電力が大幅に不足する」として大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町、いずれも出力百十八万キロワット)を再稼働する根拠にしていた。関電広報室の担当者は「節電協力のおかげ。今後は気温上昇による需要増加や発電所のトラブルも想定され、需給が厳しくなる可能性もある」と説明した。

 

これまでの最大需要は、大阪市の最高気温が三六・七度に達した八月三日午後二時台。一〇年夏は八月十九日に最大需要を記録したが、その時の気温は三六・六度だった。

 

関電管内は大飯3、4号機が七月二十五日までにフル稼働した。直前の需要予測に基づいた電力供給量に対し実際どれだけの電力が使われたのかを示す電力使用率は最大需要を記録した八月三日でさえ、89%で10%以上の余裕があった。

 

今夏は企業や家庭の節電が定着し、気温が三五度を超える平日の猛暑日でも最大需要は二千五百万~二千六百万キロワット台で推移した。

 

本紙が今夏の発電実績を参考に原発を除く関電の発電設備能力を調べたところ、火力、水力、揚水、地熱・太陽で計二千八万キロワット。これに中部電力など他社からの融通電力など七百四十二万キロワットを加えると、計二千七百五十万キロワットで、これまでのところ大飯3、4号機のフル稼働がなくてもカバーできた計算になる。

 

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勘はやはり当たっていたという方も

大勢おられるでしょう。

 

 

 

さて大見得をきってみせた大阪の橋下市長や、

時間だけかけてじっくり考えたと見せかけた野田首相は、

どのような弁解をするのでしょう。

経団連などにそそのかされた?

人工呼吸器が止まったら殺人者になるゾと脅かされた?

騙された方が馬鹿だったのです。

 

 

問題はこの事実のもとで今後どうするかでしょう。

 

 

次の言い訳はどうなるでしょうね?

 

原発を稼働させなければ膨大な不良債権を生むだけですから、

電力会社は嘘をつき続けても次の手を考えてくるでしょう。

不良債権が出来てしまえば膨大な赤字に陥り、

株主訴訟が起こり、夜間割引などへの損害賠償を支払わなければなりません。

原発は動ける間に安い燃料として稼ぎ続け、

その後の廃炉の費用も稼ぎ出さなければなりません。

 

 

経団連は、何故嘘までついて電力会社の肩を持つのでしょう。

大手企業への電力価格は、公表されていない格安の契約価格で

納入されています。もたれあいの関係なのです。

 

 

疲弊しても電力業界はまだ強い。

大手新聞はこのような事実を誰にも突きつけず、

責任をはっきりさせようと闘いません。

国民の側に立っているものなどありません。

広告料収入にこそ立っているのです。